本当に「田舎」が見直されてきているのか?
YOMIURI ONLINE より。
田舎への定住希望が急増、20歳代で4割近くに
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140810-OYT1T50009.html都市部の住民では、田舎への定住を希望する人が31・6%で、前回2005年調査より11ポイント増加。年齢別では20歳代が38・7%で最も多かった。
20歳代のポイントが高いことを受けて、「若者の間に田舎の価値が見直されてきた!」とか「やっぱりもう都会はダメだよね!」とか言っている人がいるが、どうも本質はそこではないように思う。
ポイントは2点。
1.田舎の都会化
1点目は、何もない田舎に都会とは違う何か新しい価値を見いだされるようになった、というのはどうも違うような気がする。
実はそうではなくて、2000年以降発達したインターネットとショッピングモール文化のおかげで、田舎でも(車さえあれば)都会とさほど変わらない便利な生活が享受出来るようになったから、「別に都会じゃなくてもいいよね?」という嗜好になったのではないのか、と推論する。
いわば、日本全体が「都会化」してしまったのである。都会の拡散と浸透だ。だからわざわざ物理的に都会に居を構える必要がなくなったのだ。決して「田舎が好き」とか「都会が嫌い」なわけではないのだ。やっぱりみんな「都会が好き」なのだ。
2.田舎間の競争社会
2点目は、実際に田舎に移住したいという若者が増えてきた場合、その若者も「田舎ならどこでもいい」というわけでもなく、やはり「移住したい田舎」と「移住したくない田舎」と、田舎を選別するようになるだろう。
そうなると従来の「都会 vs 田舎」という対立構造から「移住したい田舎 vs 移住したくない田舎」という田舎同士の対立構造になる、ということだ。田舎間の激しい競争になる。
移住したい田舎はなんとか人口や地方自治が維持出来るようなると思うが、移住したくない田舎はますます過疎化が加速するだろう。移住したくない田舎にとってはむしろ残酷な現実が待ち構えていることとなり、単純に「若者の田舎嗜好」を喜んでばかりはいられない。
むしろ生き残りをかけた田舎同士の若者の奪い合いになる、と自治体は覚悟すべきであろう。ここで若者を取り込めなければ、限界集落化とかそんな生易しいものではなく、その自治体は本当に「崩壊」する。
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